鬼火電磁波痛み分け

Oの数は多い方が良いとされる

【DM雑記】「ストップ」と「フリーズ」についての邪推と妄想

 

「次のターンのはじめにアンタップしないタップ」、あなたはどう呼びますか?

 

……

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  これは6月3日のチラ見せだ。なるほど、イラストからもわかる通り《フリーズ・チャージャー》のReメイクで、《ブレイン・Re:チャージャー》と同じサイクルであることが伺える。強さはともかく、ミラダンテが再びフィーチャーされるのなら、このチョイスは納得と言えよう。

  

……ん?

 

「ストップ」って書いてある……

 

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 イラストレーターこそ違うものの、どっちのイラストを意識したかは明白である。それなのに、なぜストップのReメイク……?邪推もいいとこだが、ちょっとだけ考えてみよう。

 

……

 

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 さて、前提として、ストップという単語には、《ミラクルストップ》《ファイナル・ストップ》《ワールド・ストップ》という、れっきとした「特定のカードを封じる」フレーバーがある。そしてそのどれもがミラダンテ関連の呪文であり、「タイムストップデュエル」という技(?)からもそれが伺える。これ以前の「ストップ」と名に付くカードは《破滅の時計 ザ・ストップ》のみであり、ストップ=ミラダンテと結びつけるのはおおよそ間違っていない。

 

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 ところが、その次の年に《タイム・ストップン》《ストップ・チャージャー》というカードが登場する。言うまでもなくこれらはミラダンテともルシファーとも関係が無い。まあ、前者に関しては厳密には関係なくはないのだが。そしてこれらはテキストとしてもこれまでのストップとは関係のない「攻撃を止める」タイプのものだ。いわゆる「フリーズ」と呼ばれるやつに近い。

 

 ところで、この「フリーズ」という単語は、デュエマ史においてなかなかに根深い問題を抱えていることをお話しておかなければならない。実は、「タップして、次のターンにアンタップしない」という能力 (以下、便宜上「起きないタップ」と呼ぼう)をフリーズと呼称してしまうのは、厳密には少々すれ違いが生じてしまうのだ。

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 その原因が、この「フリーズ」という能力である。この能力を知らない読者諸君は「何を言っているんだ」という感じかもしれないが、よく見るとフリーズという能力は「相手プレイヤーを攻撃してブロックされなかったとき」という一文を内包してしまっている。つまり、フリーズという単語はこの能力から来ているのに、厳密には意味が異なるという、なんともややこしい事態になっているのである。「起きないタップ」を簡単に「フリーズ」と呼称できないのはこういうことだ。

 この「フリーズ」という能力は、覚醒編に登場した「〇〇ソウル」に対応する能力のひとつであった。具体的には、光の「H・ソウル」と水の「M・ソウル」を併せ持つクリーチャーはこのフリーズを持っていたのだが……

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 4種しかいない(しかも、《ウナ・アラーナ》は「ダブル・フリーズ」という派生能力である)。まあ、どのソウル能力もこんなもんなので特筆すべきことではない。むしろ派生能力がある分恵まれている方だ。

 少し話が脱線するようだが、数日前にこのソウルの話題をフォロワーと話していた時に、『この「ソウル能力(仮)」の欠点は、キーワード処理(「ブレイク」など)ではなく、キーワード能力(「W・ブレイカー」など)にしてしまったことにある』という考えを聞いて、とても合点が行った。というのも、例えばこの段階で「・相手のクリーチャーを1体選び、タップする。その後、そのクリーチャーをフリーズする。(フリーズ:次のターンの始めにアンタップしない)」などと書いていれば、「疑似フリーズ効果」みたいなめんどくさい言い方をせずに済んだかもしれない。これは他のソウル能力にも言えることで、「M・ソウル」の固有能力である「連鎖」を例に挙げると、「・このクリーチャーをバトルゾーンに出したとき、連鎖する。(連鎖:山札の上から1枚目を見る。(以下略))」としていれば、後世のテキストにも活かせ、幅が出たのではないかという話だ。

 とはいえ、やみくもにキーワード処理を増やしたくないという意図もわかるし、「ソウルを強調するものとして、インパクトのある技を持たせたい」という意図も見えるので、一概に間違っていたとは言えない。そして、その「技として独立させるのか汎用性のある能力にするのか」という揺らぎの反省と経験が活かされているのが、「GR召喚する」「Jトルネードする」であり、「破天九語」「キリフダッシュ」「鬼タイム」ではないのかと思うのだが、とりあえずその話は置いておこう。

 

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 本筋に戻ろう。フリーズがさらにややこしかったのは、こういう「疑似フリーズ効果」みたいなカードがしっかり「凍らせる」フレーバーで出てきたりしていたところだ。最も、カードテキスト検索に「アンタップされない」「アンタップしない」などと入力して検索してもらえばわかるように、決してこの手の能力を持つ全員が「凍る」のフレーバーを持っていたわけではなく、全体としてはむしろ少数派である。だが、「凍る」というフレーバーを、「起きないタップ」として厳密に扱っていないのは、「フリーズ」というキーワード能力だけだったということは言えよう(ブロックされないという条件が内包されてしまっているので)。ちなみに、明確にフリーズという単語を冠する「起きないタップ」持ちのカードは、《フリーズ・チャージャー》が初めてである。

 

 ここからが妄想になる。

 

 まず、なぜ《フリーズ(ストップ)・チャージャー》をReメイクの対象に選んだか、というのは置いておこう。まあ、チャージャーをReメイクするにあたって一番都合よかったのだろうが、それはまた別の意味があるとして、とにかくその方針が一番最初に考えられたとする。それから、元も子もないので、発注ミスの可能性等は考えずに、「何かしらの意図がある」ものとして考える。

 そして、上記のフリーズに関する流れを踏まえ、名前だけが違うこの2つの呪文を、いっそ同じにしてしまおうとしたのではないか、という仮説を立てた。そして、ストップとフリーズのどちらかを残すことになったとき、「起きないタップ」の代名詞として、「ストップ」が選ばれたのである。そして、ミラダンテと同じ時期に登場した《フリーズ・チャージャー》を《ストップ・チャージャー》であったことにしてしまい、ついでに「ミラダンテといえばストップ」という図式に組み込もうとしているのではないか……ということである。

 そしてそれはそのまま、「起きないタップ」を何と呼ぶかという論争(?)にも決着がつくかもしれない。つまり、「シールド化」と同じように、もしかすると「ストップする」と名がつく可能性だってあるかもしれないのだ(使用度的には「フリーズする」のほうが良いが、それは前述のとおり難しいので)。かなり飛躍しているが、無い線ではない。あるいはもっと単純に、「ストップ」という名称カテゴリを作るつもりなのかもしれない。これだと冒頭で言ったとおり「特定のカードを止める」ことと「起きないタップ」の両方の意味を内包してしまうことになるが、そういうのはかつて「ヘブンズ」カテゴリでも前例があるので、そんなに問題ではない気がする。

 いずれにせよ、どうせならミラダンテと関連性が深い方にイラストを統一して、同じ呪文として扱ってしまおう、というところは同じである。

 

 ……もちろん、だいぶ無理があることは百も承知だ。なぜなら、ほんのつい最近まで、「起きないタップ」は「凍る」だったのだ。「振手」と書いてフリーズと読ませていたほどである(それは読めないだろ)。

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 だがそうでもしないと、「ミラダンテが出てくるから《フリーズ・チャージャー》オマージュの呪文も出す」という親切なことをしておきながら名前だけが違うことの説明がつかないのだ。背景ストーリー妄想的に言えば、「元は同じ技術だったが長い年月をかけて名前が変わった」「ジョーカーズがそれをストップと形容したことでミラダンテの歴史にも影響を及ぼし云々」などといくらでも嘘八百を並びたてられるが、本筋ではないので置いておく。

 そういうわけで、この妄想が正しいかどうかは、次の「起きないタップ」の新規カードが出て来るまで待つことになる。最も、それが「凍る」のフレーバーであったとしても、「《ストップ・チャージャー》をミラダンテに関係するカードにしたかった」のは間違っていないような気がするので、完全に否定されるわけでもない。

 

 ……もちろん冷静に考えれば、そんなに深い意味は無いと思うけど、妄想の余地があるのは面白いことだ。たまにはこういう揺らぎに足を止めてみるのもいいだろう。「ストップ」だけにね。\ドッ/