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Oの数は多い方が良いとされる

【6月7日】日記という勿れ【#んろ日記】

 読んだ漫画レビュー(?)

  不意に妹が買っていたので読んだ。実写化されるからというわけではないが、もともとちょっと気になってた漫画ではあったので良い機会だった。既刊8巻。以下いろいろ言うけど、「好き寄り」の意見として聞いてね。

 

 あんまりミステリも少女漫画も読まない人の感想になるが、こんなナリして(?)かなりファンタジックなミステリ系で、「コナンよりちょっと下」レベルのフィクションっぽさだった。マルクスアウレリウスの「自省録」をページと行と紐づけて全部暗記してるから、「ページ-行-何文字目」の数字で喋る人」とか「特に何の理由もないしそういうキャラ付けでも萌えキャラでもないし誰も突っ込まないけど、特に何の理由も無く語尾が『にゃん』の人」とか出てくる。でもあんまりほかのミステリ系読まないからどこもそんなもんなのかもしれない。自省録はやばい。

 

 内容は、たぶん安楽椅子探偵物なのかな、こういうの。固定観念に囚われてしまいがちなタイプのトリックが多い。で、探偵役の「久能整(ととのう)」が、「僕は、常々、思ってるんですけど」というセリフから、日ごろの固定観念やバイアスを覆すようなことを言って、登場人物たちの心に訴えかけつつ、トリックを暴いていく……みたいな、それが一本の流れ。

 

 うん、そう、これ、読むまで知らなかったんだけど、いわゆる説法説教ものになるんだと思う。

 

 いや、やりたいことはわかる。「はっとさせられる」タイプの自己啓発的漫画は最近多いし。それに、「一見ファンタジーな状況からそもそもの「ファンタジーじゃない部分」の設定とか固定観念も覆ったら面白くないですか?」みたいなニュアンスはなんとなくわかったので、それを覆すために「海外ではこうだから日本もこうなればいいと思います」「〇〇って言葉、よく考えたらおかしいですよね」みたいなことを整くんが独白して「はっとさせられる」展開に持っていくのは、まあまあ自然だ。

 だから、この漫画が好きか嫌いかは、ここがダメかダメじゃないかに分かれると思う。今試しにAmazonのレビュー見てみたけど、すごい真っ二つで笑ってしまった。それはよくわかる。確かに、(あまりこういう意味で使いたくないけど)「女性向け」だと思った。言い方は乱暴だが、「意識高い系」の漫画であることは間違いない。それが良いか悪いかはともかく。

 自分は、「まあそういう考え方もあるよなー」程度に聞き流すことに慣れたので途中からさほど気にならなくなった。これをいちいち真に受けて「はっと」させられてたら、キリが無い。

 

 それよりも好きな点は、かなり縦軸のストーリーがはっきりしているところ。まあこれは勝手に俺がオムニバスだと思ってたのが悪いんだけど。毎回何かしら縦軸の話がじんわり進んでいくのでそれは楽しい。コナンで言うなら黒ずくめの組織をずっと追ってる感じ。

 わかりやすいヴィランもいる。いや、「主人公と共闘しないタイプの2号ライダー」のほうが近いな……。犬堂ガロくんと言うのだが、キャラとしてはこの子周りが一番好き。初邂逅回の別れ際に主人公に「名前の漢字なんて書くんですか?」って聞かれたときの返しが本当にかっこよかった。第一義で一番少女漫画らしいキャラクターかも。イケメンだし。

 ちなみに話としては、爆弾魔の話と美術館の話が好き前者は「助けた記憶喪失の男性と脈絡のない会話をするが、実はそれが(記憶を失う前に)仕組んだ爆弾のありかを示すヒントになっていて……」という話、後者は「美術館の絵と場所に仕組まれた暗号を解く」という話。暗号とか謎めいたダイイングメッセージとか、そういうロマンあふれるものがいっぱい出てくるから好きなのかも。「昔のしきたりと掟にそって連続殺人を犯す」とかいうよくあるやつもあるよ。

 インターネット広告でも「焼肉屋に入ったらおすすめメニューがSOSのサインだった」とか「手紙に書いてあったイラストの頭文字を繋げたら別のメッセージになる」とかが有名だったと思う。だいたいああいうのが続く。

 

 総評として、オススメできるかどうかは人によるが、個人的には好きだった。まだ縦軸の話は全然終わりそうにないし、ガロくんとも再会してないので、ひっそり楽しみにしていようと思う(俺が買ってるわけじゃないから)。

 もしこの記事を見て「おっ読んでみたろ」という気持ちになった人にひとつ忠告なのだが、たぶん、第1話は読まないほうがいい。かつて読切として雑誌に掲載されたものをそのまま第1話としているのだが、なんか、この漫画の「説教説法漫画」的要素を原液のまんま流されるのでびっくりする。トリックとか推理とかそれどころじゃない。もうちょっと薄めて欲しい。

 なので、第1話は「連載前のプロトタイプ」程度に思っておいて欲しい。主に警察周りの登場人物はこの話が初出なのだが、知らなくてもたぶんなんとかなると思う。第2話からガロ君出てくるし、あとの話は全部縦で繋がってるので。

 とにかく3巻か4巻ぐらい読んで慣れてきてからじゃないと飲めたものではない。もちろん最初に第1話を読んで「この漫画が大丈夫か大丈夫じゃないか」という判断もできるのだが、好意的な意見の俺も第1話時点では3回ぐらい投げだしそうになったので、あんまりオススメできない。逆に第1話が好きな人は絶対全部好き。

 

 とりあえずこの漫画のお話ができるようにはなったので好きな人とお話をしてみたい気持ちはある。しかし、菅田将暉かあ。やっぱりあんまり菅田将暉の印象ではなかったな、別にいいけど。

 

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